2004.07.28号
Vol. 8 オフィス街で元気な「ネオ屋台村」

今週はアグリネタからちょっと脱線して、食べ物の話題を。
先週、池袋のナムコ・ナンジャタウンにシュークリームのフードテ
ーマパークがオープンして話題を呼んでいますが、「屋台のテーマパーク」と
いうべく、いま注目されているのが「ネオ屋台村」です。

これは商業施設やイベント会場の広場に、ランチ限定で現れる屋台の一群で、
カレーにタコス、スプラキ、ベトナムサンド、沖縄料理、アジアンごはん、エ
スプレッソなどなど、国際色豊かなメニューがズラリ。いずれも個人や個店の
経営者がほとんで、普段は路上で「流し営業」している移動販売の彼らを一堂
に集めたことで話題になっています。昼時には近くのOLやサラリーマンで行列
ができる人気。

「ネオ屋台村」は現在都内で4ヵ所。東京国際フォーラム村(有楽町)、東京
サンケイビル村(大手町)、丸の内トラストタワー村(丸の内)などのオフィス街。
時間も11時30分〜14時まででランチ限定です。
 http://www.w-tokyodo.com/

ネオ屋台村を企画し、移動販売車を統括しているのは、イベントのケータリン
グを専門とする(株)ワークストア・トウキョウドゥ。昨年秋から、ビルの管理
者から依頼を受け、オフィス街のランチ対応と地域活性化のために始めました
が、話題性抜群とあってマスコミで取り上げられることも多く、同時に「出店
させてほしい」という依頼も殺到しているそう。

もちろん希望通り出店できるわけではなく、いま出店できる車は国際フォーラ
ムで7〜8台。現在50業者が登録し、10業者以上が出店待ちの状態です。同じ
業種がダブらないように調整していますが、出店の条件は、仕出し弁当のよう
にただ販売するだけではだめ。「お客さんに楽しさを与えるため、その場でで
きたてを提供する、いくつかある惣菜から好みのものをチョイスできるといっ
たパフォーマンス性を求めている」とのことで、売り方にも工夫が必要。

店主のキャラクターも人気のバロメーターで、ネオ屋台の店主は30代前後の若
者が中心ですが、みな「お客さんと話すことが大好き」という明るいオーナー
ばかり。中には「エスプレッソを売るアラビア語の講師」といった一風変わっ
た外国人もいたり、それぞれの屋台の個性とパワーが屋台村の主役。

人気は、日替わりでアジアの屋台料理を6種類提供する「アジアンランチ」や
沖縄料理の「Ryukyu Wave」、その場でナンや羊肉を焼いて提供するインドカ
レーやスブラキ。「Ryukyu Wave」は、若い女性二人が脱OLで始めて1年。八
重山諸島の大自然と温かい島の人たちのとりこになり、気がついたら民宿の手
伝いもしていたという二人は、「おばぁから習った身体に良くておいしい沖縄
料理を都会のみんなにも食べてもらいたい」と移動販売を決心したそう。西表
島の黒砂糖と泡盛で煮込んだラフティ(豚の角煮)丼や、沖縄もずく、コーニ
バ(よもぎ)のジューシー(炊き込みご飯)などのランチボックスが瞬く間に
人気を集め、屋台村以外にも週5日都内で定期的に出店し、固定客をつかんで
います。屋台営業ながら「OL時代に比べ、収入はさほど落ちていない」とい
うから立派。

成功している彼らの特徴は、ホームページに1週間の出店場所やメニューをア
ップしたり、携帯電話のメールと使って本日のメニュー告知するなど、店舗が
ない分、ITを駆使してお客さんとのつながりを作っていること。ネオ屋台村
に集まることは、一匹狼で流してきた移動販売車にとって、互いに情報交換や
手助けができる場にもなっています。

経営的には、屋外のため天候に左右されやすい屋台村は、「一店で1日10食の
日もあれば70食もある」と、決してとびきり繁盛しているわけではありません
が、最近は個人以外にも、ネオ屋台村の集客性に注目し、車にオーブンを積ん
で焼き立てを提供するカレーパンやメロンパンなどのチェーンも増えてきてい
ます。

運営元のトウキョウドゥには、オフィスビル以外にもコンサート会場や百貨店
の催事などから声がかかることも増え、「出店者のために集中的に利益の出せ
るランチの場所をもっと増やしていきたい」と、これからあちこちで見かける
ことになりそうです。私個人では、ランチだけでなく、アフターファイブに、
一杯呑める屋台村も希望しているのですが(笑)・・。

○阿多笑子(あた・えみこ フードジャーナリスト)
 E-Mail:emikoen@yahoo.co.jp